安全レベルを確保 〜電流遮断機構の採用〜
リチウムイオン電池が過剰に充電されれば、電池内の圧力が上昇する。そこで、Dr.Nagauraはリチウムイオン電池が過剰に充電された時の電池内圧の上昇を利用して、電極と外部端子との導通回路が切断するという電流遮断装置を考案した。

Dr.Nagauraはリチウムイオン電池が過剰に充電された時の電池内圧の上昇を利用して、電極と外部端子との導通回路が切断するという電流遮断装置を考案した。
リチウムイオン電池が斯かる電流遮断装置を装着すれば、リチウムイオン電池は誤って過剰に充電された際には少なくとも安全に壊れる。
今ではリチウムイオン電池の過剰充電については充電器の設計者には十分に理解されているので他の対処方法もある。
しかし、リチウムイオン電池のデビュー当時は蓄電池の充電方法はほとんどが定電流充電であり、リチウムイオン電池が誤って定電流充電方式で充電される可能性は大であった。
実は1987年には負極に金属リチウムを使用するリチウム二次電池(Li/MoS2電池)が商品化されていた。ところが、携帯電話に搭載されたLi/MoS2電池が1989年には多数発熱事故を起こしてしまい、市場から消え去る羽目になっていた。
当然、発火事故に至る可能性のあるリチウムイオン電池もその商品化は非常に難しかった。もし、電流遮断装置が採用されずにリチウムイオン電池が商品化されていたならば、早い段階で発火事故等が多発して、リチウムイオン電池もLi/MoS2二次電池と同じ結末を迎えたに違いない。
その意味では電流遮断装置の採用がリチウムイオン電池の実用化を実現したといっても決して過言ではない。
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